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週刊エコノミスト Onlineワイドインタビュー問答有用

“日本のロックスター”が「ソーラー賛成」派になったワケ 佐藤タイジさんインタビュー

「今、この時代の、こんな状況だからこそ、一人ひとりが『幸福』について考えるべきだと思うんです」 撮影=佐々木龍
「今、この時代の、こんな状況だからこそ、一人ひとりが『幸福』について考えるべきだと思うんです」 撮影=佐々木龍

ロック&エコ=佐藤タイジ・ミュージシャン/857

 自他ともに認める「日本のロックスター」が、太陽光発電による音楽の野外フェスを開催して今年で10回目。音楽の力で社会は少しずつでも着実に変わり始めている。

(聞き手=加藤純平・ライター)

「“ソーラー賛成”派なら負けることがないんですよ」

「コロナで瀕死の音楽業界。優秀なスタッフがバイトを始めたと聞いて言葉を失った」

── 佐藤タイジさんが主宰する野外ロックフェス「THE SOLAR BUDOKAN2021」(ソーラーブドウカン)が9月25、26日、山梨県の富士急ハイランド・コニファーフォレストを会場に開催を控えています。それに先駆けるように7月18日には野外音楽イベント「ソラリズム夏2021」を東京都あきる野市で開催しました。

佐藤 「やってやった感」に満ちあふれていますね。ソラリズムは野外ステージを会場に500人規模で開催しましたが、新型コロナウイルス対策を万全にしたうえで、野外の小規模なイベントであれば大丈夫なんだということを示せたと思います。考えてみれば、大きな公園にはだいたいステージがある。それを使わせてもらったりしながら、各地でやっていこうと動いています。(ワイドインタビュー問答有用)

── イベント開催のきっかけは何でしょうか?

佐藤 新型コロナの影響で音楽業界は売り上げが約8割も減少し、もはや瀕死(ひんし)の状態です。いつもお世話になっていたライブハウスも貸しスタジオも、バタバタと倒れてしまっている。もちろん、音楽に関わるスタッフも大変な状況です。知り合いのめちゃくちゃ優秀なスタッフが生活のためにデリバリーのバイトを始めたと聞いて、思わず言葉を失いました。

 音楽の現場を、音楽の仕事を、そして支えてくれるスタッフを失わないためにも、なんとかイベントをやる方法はないのかと考えていたんです。そして、毎年開催しているソーラーブドウカンという大型フェスが、昨年は動員数の制限などを余儀なくされてしまったこともあって、今回のような数百人規模かつ野外という、安全な形で行えるスピンオフイベントを開催したかったんです。

── とはいえ、イベント開催への反発も多かったのでは?

佐藤 いくら対策をしても批判の声は出ると思っていました。ただ、バッチリ対策をして、関係各所には事前に話を通しておく。基本中の基本のことですが、これに尽きると思います。でも、実際に開催して感じたのは、主催側もミュージシャン側も、そしてお客さんたちも本当に楽しんでいたということ。特に、子どもたちの笑顔は忘れられない。今って、絵日記に描けるようないわゆる夏の思い出が作りづらいじゃないですか。そうやってみんなが楽しそうにしていたら、批判の声は寄せられなかったんですよね。

「日本のロックスター」

 佐藤さんは1986年結成のファンク・ロックバンド「シアターブルック」のリーダーで、圧倒的な声量のボーカルと情熱的なギターでファンを魅了する。そんな自他ともに認める「日本のロックスター」が2011年3月の東日本大震災と福島第1原発事故に衝撃を受け、太陽光発電でライブの電源を賄う「ソーラーブドウカン」を12年12月、東京・日本武道館を会場に開催した。

── すべての電気を太陽光発電で賄うソーラーブドウカン。かなり野心的なチャレンジですが、そのきっかけは?

佐藤 シアターブルックにとって武道館はまだ立ったことのない夢のステージでした。ロックスターとしてはあの舞台に立たないと死んでも死にきれない。開催に向けて動いていた最中に、あの東日本大震災が発生しました。社会も一変して、俺たちも武道館ライブどころではなくなってしまった。でも、徐々に状況が落ち着いていくなかで「武道館の夢を諦める必要はない」と気がついたんです。

 しかし同時に、あんな大震災の後に従来型のライブをやることは何か違うとも思っていた。だったら、どうすればいいかと考えたら、2秒後に答えが出たんです。「原発の電気を使わずに、全部ソーラーの電気でやればいいんだ」と。それなら自分も納得できる。そこで、11年6月にその方針を発表したんですが、実は何もつてはなかったんです(笑)。

── 実際に、開催するまで1年半かかりましたね。

佐藤 太陽光発電によるイベント開催は「フジロックフェスティバル」の小さなステージでは行われていましたが、日本武道館のような規模ではまだ誰も取り組んでいませんでした。そのステージの舞台監督を務める先輩からも「お前はばかか」と(笑)。けれど、そこから協力企業を探すうちに、中央物産という蓄電システムなどを開発している会社が協力を名乗り出てくれたんです。打ち合わせを重ねるうち、「何だかやれそうだぞ」と現実味を帯びてきました。その後も協力企業がたくさん集まって、無事開催することができました。

── 最初の…

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