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これが米国民の懐の深さ 81%が受け入れ支持 アフガン難民に向ける恩義と人道的配慮=中園明彦

受け入れ支持が81% アフガン難民への恩義=中園明彦

 バイデン大統領は8月末にアフガニスタンから米軍を撤収させた。2001年の同時多発テロ以来、20年間にわたる米国史上最長の戦争の終結だ。オバマ、トランプ両大統領も望んでいたが実現できなかった撤収であり、米国民はおおむね支持してる。

 しかし知人の退役軍人によると、多数の仲間の命を犠牲にした彼らの活動が果たして正しかったのか軍人は悩んでいるらしい。また、バイデン大統領の、撤収時期や方法に関する見通しの甘さについては多くの批判がある。特に自爆テロで多数の米国人が亡くなったことと、数百人に上る米国人、そして米軍に協力してきたアフガン人の多くが国に取り残されてしまったことには超党派の批判が相次ぎ、9月10日現在、支持率も大統領就任以来最低に沈んでいる。

ベトナム戦争からの変化

 米政府によると、8月末までに米軍関係者全員とアフガン人協力者約6・7万人が脱出した。うち、約2・4万人は既に米国に到着。残り4・3万人は中東や欧州の米軍基地に一時的に避難し、身辺調査で問題なければ米国もしくは他の難民受け入れ国に移送される。

 受け入れ対象となるアフガン人協力者は、米国の永住権を持っている人のほか、通訳などで米軍に協力していた人で「特別移民ビザ」の発給を受けた人だ。その他、何らかの手段でアフガニスタンから脱出できた人のうち、米国への亡命希望者も今後対象になる。今のところ難民はワシントンのダレス国際空港から入国。入国審査のあと一旦全米の軍施設に送られ、支援者探しを行った上、最終定住地に送られることになっている。

 米国は世界最大の移民受け入れ国であり、新型…

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週刊エコノミスト

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