打算と駆け引きの総裁選、自民の「顔」は誰でも同じ?
有料記事
打算と駆け引きの総裁選 自民の「顔」は誰でも同じ?=及川正也
菅義偉首相の出馬断念を受けて候補者が乱立した自民党総裁選も大詰めだ。国民的人気の高い河野太郎行政改革担当相(58)と安定感のある岸田文雄前政調会長(64)が先陣を争い、高市早苗前総務相(60)と野田聖子幹事長代行(61)の女性2人が後を追う。4年ぶりの衆院選を直後に控え、「選挙の顔」選びの意味もある。
いずれも当選8回以上のベテランで高い知名度を誇る4氏。活発な政策論争とパフォーマンス合戦は見応えがあった。だが、詰まるところ権力闘争である。最後にモノを言うのは、派閥の合従連衡や敵対勢力の切り崩しだ。表舞台の政策論争の裏では、生き残りをかけた駆け引きと熾烈(しれつ)な票の争奪戦が繰り広げられている。
カギ握る1回目投票
1回目の投票で決着をつけたい河野氏に対し、決選投票に持ち込んで「岸田・高市連合」で逆転を狙う岸田氏──。下馬評は、こんな見方で一致する。
今回の総裁選は、国会議員票383票、党員・党友票383票の計766票で争われる。過半数の384票を獲得すれば勝利だ。
各派閥は支持候補の一本化を見送った。だが、大派閥の細田派は「高市氏と岸田氏」、麻生派は「河野氏と岸田氏」を支持対象とし、「岸田推し」をにじませ、国会議員票では岸田氏優位とみられる。
一方、党員票では国民的人気が高い河野氏が優勢とされる。同じく知名度の高い石破茂元幹事長、小泉進次郎環境相が支持に回って「小石河連合」を構築し、党員へのアピールに主軸を置く。
情勢を不透明にしているのが、保守層から支持を得る高市氏と、弱者重視の政策を掲げる野田氏の存在だ。党員票が分散する可能性が大きいからだ。「これで不利になるのは、党員票の大量獲得を狙う河野氏」(細田派幹部)とみられている。1回目の投票ではどの候補も過半数を獲得できないという観測が強まる要因になっている。
…
残り1295文字(全文2095文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める