映画 キャッシュトラック 辛口の犯罪映画に見せかけて悪霊の飛び交う異様な殺戮劇=芝山幹郎
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ガイ・リッチーは当たり外れの大きな監督だ。才気があり、人を食った展開で観客の度肝を抜くのが得意なので、バットの芯に当たったときは痛烈なライナーが飛ぶが、当たり損ないの凡打も少なくない。とくに、大作は外れやすい。
その点、「キャッシュトラック」には期待が持てた。主演は、リッチーの初期作品で常連だったジェイソン・ステイサム。元は飛込みの選手で、アクションの切れがよいし、ときおり繰り出す無表情なユーモアもなかなかの味わいだ。ただ、この人には類い稀(まれ)な暗鬱さがある。役に悪霊を乗り移らせる黒々としたパワーと言い換えようか。
キャッシュトラックとは現金輸送車を指す。ロサンジェルスに拠点を置く〈フォーティコ〉という警備会社に、ある日、ひとりの男が面接を受けにくる。
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週刊エコノミスト
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