教養・歴史書評

平安時代は「平安」ではなかった! 異賊来襲の危機を描写=今谷明

歴史書の棚 平安期の異民族襲来を詳述 武士の変遷伝える格好の史実=今谷明

 ちょうど1000年前、世は平安時代の摂関全盛期の頃、北方の異民族が北九州を襲撃するという大きな国際的事件が起こった。平安前期、9世紀ごろまでは、中国東北地方の渤海(ぼっかい)国が日本と友好関係を築いており、中国の唐は老衰期を迎えているとはいえ、日本は貴族政治の中、泰平を謳歌(おうか)していた。それだけに北方異民族(刀伊(とい))の襲来は日本にとって大変な衝撃であった。

 関幸彦著『刀伊の入寇(にゅうこう) 平安時代、最大の対外危機』(中公新書、880円)は、右の国際的大事件を多角的に考察した好著で、平安時代観を一変させるほどの読後感を与える。

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