国際・政治論壇・論調

インフレは制御可能なのか 米国で暴走への警戒論噴出=岩田太郎

米下院で証言するイエレン財務長官(2021年9月ワシントンで) Bloomberg
米下院で証言するイエレン財務長官(2021年9月ワシントンで) Bloomberg

インフレは制御可能なのか 米国で暴走への警戒論噴出=岩田太郎

 イエレン米財務長官は10月24日、CNN討論番組に出演し、「2022年前半は物価上昇が高止まりするものの、制御できないレベルにはならない。次第に正常化し、収束する」との見方を示した。本当にインフレは一時的なものに終わるのか、米論壇の議論は新たな段階に入っている。

 米『ワシントン・ポスト』紙の経済コラムニストであるロバート・サミュエルソン氏は10月19日付の評論で、「1970年代の悪性インフレ退治で知られる故ポール・ボルカー米連邦準備制度理事会(FRB)元議長は、『インフレを制御できないレベルにまで高めてはならない。いったん物価上昇が暴走を始めれば、それを止めることが困難だというのが、世界中の中央銀行が学んだ教訓だ』と述べていた。FRBは、失業率上昇などの副作用で批判を浴びることになっても、早期に金融を引き締めて、インフレが制御不能になることを防ぐべきだ」と論じた。

 また、独保険大手アリアンツの首席経済顧問であるモハメド・エラリアン氏は10月21日付の評論サイト「プロジェクト・シンジケート」で、「70年代に見られたような2ケタのインフレが起こる兆候はないものの、ニューヨーク連銀の消費者インフレ期待アンケート調査では、この先3年間の物価上昇率が前年比4%を上回るとの回答が得られた。労働力不足も続くため、インフレは高止まりする」との見方を示した。そのうえで、「『インフレは一時的なものだ』としてきたFRB高官の多くは、遅まきながら見方を修正している。FRBは、緩和的な資産購入の規模縮小を急ぐなど、早く現実に追い付くべきだ」と…

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