英国で政策金利巡る論争が過熱 見解割れるインフレの行方=増谷栄一
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イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が早期に利上げするべきか現状維持かを巡る論争が金融界で起きている。最近の急激なインフレ加速が一時的か否かという根本的な点で意見が割れている。
9月の英インフレ率は前年同月比3・1%上昇と、前月(同3・2%上昇)をやや下回ったが、来年は平均で4%上昇に加速、ピークに達すると見られている。BOEの物価上昇目標(2%)の2倍だ。
英シンクタンク、国立経済社会研究所のポール・モーティマー・リー副所長は10月12日付英紙『デーリー・テレグラフ』で、「来年初めにインフレ率は5%上昇となる可能性は十分にあり、消費者は生活費を切り詰める必要がある」と言及した。同氏は早期利上げ派で知られる。
テレグラフ紙のトム・リース記者は10月24日付記事で、「インフレ率が上昇すると、税収が増え、歳出が予測より抑えられ、政府の借入金が減少するのに役立つ半面、国債の利払い増加により、国債費(債務返済費用)が増加する」と指摘する。英予算責任局(OBR)の調査では、インフレ加速によって今後5年間で国債費用が500億ポンド(約7兆8000億円)増加するとの見通しを明らかにしている。
BOE金融政策委員会(MPC)元メンバーで、現在は英経営コンサルタント大手ケンブリッジ・エコノメトリクスに所属するアンドリュー・センタンス氏は10月19日付のテレグラフ紙で、「BOEは11月に利上げの準備を整え、来年2月に最初の利上げを行うべきだ」とした上で、「インフレが加速するにつれて、政策金利を超低水準(現在0・1%)から通常の低水準に引き上げるため、2月以降も追加利上げを実施し、来年末までに政…
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週刊エコノミスト
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