気候変動で先進国と途上国が対立 英COP26に内容不十分と批判も=熊谷徹
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英国グラスゴーで10月31日から11月13日まで開催の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)には、過去最多の約120カ国・地域の首脳が参加し、気候変動との戦いの重要性を訴えた。ただ先進国と途上国の間の不協和音も目立ち、欧州メディアにも悲観的な論調が多い。
会議の前半には、非炭素化に関するいくつかの「前進」について報じられた。例えばドイツの日刊紙『南ドイツ新聞』は、11月4日付電子版で「ウクライナ、ポーランド、韓国などを含む40カ国が脱石炭を宣言した」と報じた。同紙はCOP26のシャルマ議長の「石炭はもはや王者ではない。終焉(しゅうえん)は迫っている」という言葉を引用した。ドイツの公共放送ドイッチェ・ヴェレは11月2日付ウェブサイトで「100カ国が、メタンの排出量を2030年までに20年比で30%減らすことで合意」と報じた。
ドイツの日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は11月4日付の紙面で「09年に先進国は、『気候変動の悪影響を緩和するための資金として、20年以降毎年1000億ドルを発展途上国に払う』と約束したが、これまで実現していなかった。グラスゴーの会議で、この資金が23年から払われるめどが立った」と伝えている。同紙によると途上国は、「先進国は過去に大量の二酸化炭素(CO2)を排出することで富を蓄積する一方、世界の気候に甚大な損害を与えた責任を認めて我々に賠償金を払うべきだ」と主張しているが、先進国は要求に応じない方針だ。
また同紙によると、COP26で450社を超える銀行、保険会社、年金基金、株式取引市場の運営企業、信用格付け会社などがCO2実質ゼロのためのグラスゴー金融サービス連合(GFANZ)を結成し、50年までに世界でカーボンニュートラルを実現するための資金調達に協力すると宣言した。これらの企業が保有する資産は、130兆ドルに達す…
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週刊エコノミスト
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