バイデン・習会談、米で警戒論 中国メディアは成果強調=坂東賢治
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バイデン米大統領が11月15日夜(中国時間16日午前)、1月の就任後初めて習近平中国国家主席とオンラインで顔を合わせた。台湾や人権問題をめぐる対立の構図は変わらないが、両首脳は「衝突回避」に向けて競争を管理する必要性で一致し、軍備管理を含めた戦略的安定性に関する議論を進めることで合意した。
米CNN(11月16日)は「有意義な議論だが、突破口はなかった」と評した。米『ニューヨーク・タイムズ』紙も解説記事(11月16日)で「進展はなかったが、両首脳は多くの対立点を紛争に発展させないことを目指した」と指摘し、「彼らの言葉で一種のデタント(緊張緩和)が進むなら外交的には成功といえる」と評価した。
米国内には慎重論も根強い。米『ワシントン・ポスト』紙は「我々は中国との雪解けを望んでいるのか。イエスでありノーだ」と題した論説(11月17日)で「えさに釣られてはならない」と戒め、中国と対抗するためには同盟国と協調する必要があると指摘してバイデン氏に中国との対話に前のめりにならないようにくぎを刺した。
米国の政治評論家、ピーター・ベナール氏はニューヨーク・タイムズ紙への寄稿(11月18日)で日印豪との「クアッド」首脳会合を開き、5年間で総額1兆ドル(約115兆円)規模のインフラ投資法を成立させた上で習氏との会談に臨んだことを「絶妙な振り付け」と形容した。
一方で中国を敵対視しながら協力も得ようとするバイデン政権の戦略については「二つの目標は衝突する」と批判的だ。ベナール氏は米国民を最も脅かすものに取り組もうとするなら「気候変動」での協力を優先するべきだと主張する。
成果を強調したのは中国である。『環球時報』紙(電子版=11月16日)は「前向きなシグナルの発信」と位置づけた。習氏は直前に開…
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週刊エコノミスト
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