コロナ感染爆発の対応遅れに批判 ワクチン義務化へ転換した新首相=熊谷徹
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ドイツで毎日約6万人の新規感染者が確認され、オミクロン変異株への不安が高まる中、ショルツ政権はワクチン接種キャンペーンを加速するとともに、接種の義務化のための準備作業に着手した。
ドイツ公共放送連盟(ARD)は12月1日付ウェブブサイトで、「連邦政府と州政府は感染者の増加を抑制するために、法律を一段と強化することで合意した。政府は今年末までに3000万人にワクチンを接種する」と報じた。
ARDによると、政府は接種拒否者に対しては食料品店や薬局などを除き、商店への立ち入りを禁止する。プロサッカーの試合も、今年末までは無観客で実施する。
ドイツの日刊紙『南ドイツ新聞』は12月1日付の紙面で「ショルツ次期首相(編集部注:就任は12月上旬予定)は、小児を除く国民全員にコロナワクチンの接種義務を導入する方針を打ち出した。政府は法案作成を急ぎ、連邦議会で可決させる。義務化は2022年2月の予定で、違反者には罰金を科す」と報じた。
ちなみにショルツ氏、メルケル前首相や各州政府の首相たちは、これまで一貫して「接種は義務化しない」と明言してきた。政治家が態度を180度転換せざるを得なかったことは、ドイツの感染爆発がいかに深刻化しているかを物語っている。
公共放送第2ドイツテレビ(ZDF)の12月1日付ウェブサイトによると、11月上旬に始まったドイツの感染爆発は、今なお続いている。同月30日の新規感染者数は6万7186人で、446人が死亡した。人口10万人当たりの1週間の新規感染者数(7日間指数)は443人で、イタリア(143人)、スペイン(130人)、イスラエル(40人)より大幅に多い。最も被害が深刻なザクセン州などでは一部の病院で集中治療室(ICU)のベッドが不足し、約50人の重症者が連邦…
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週刊エコノミスト
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