富裕層の「強欲」に批判が集まる米国論壇の最前線=岩田太郎
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米国で格差拡大に議論白熱 富裕層の「強欲」に批判=岩田太郎
新型コロナウイルスが爆発的に流行し、経済が大きく打撃を受けてから2年近くが経過する。米国のエコノミストたちは、その期間中にコロナ禍が富や収入の格差にもたらした影響に関し議論している。
国際通貨基金(IMF)のキーアン・アレン研究員らは11月8日付のIMFブログで、「米家計の貯蓄率はコロナ禍以前から歴史的に不平等であった。こうした中、パンデミック(感染爆発)期において可処分所得に対する純資産の割合はすべての層で増加したものの、トップ1%層で35%増大したのに対し、最下層50%においては、5%しか増えなかったことを、米連邦準備制度理事会(FRB)のデータは示している。これは主に、富裕層がより多くを所有する金融資産や不動産の評価額が上昇し、さらに富裕層が政府のコロナ対策給付金を貯蓄できたのに対し、より貧しい層は支出せざるを得なかったためだ」と分析した。
世界銀行のデイビッド・マルパス総裁も12月7日、中国の李克強首相との会合で、「コロナ対応の金融政策や刺激策の不平等な構造が格差問題の要因の一つだ」と指摘した。
また、カリフォルニア大学のロバート・ライシュ教授は12月6日付のツイートで、「大企業はパンデミック中に記録的な収益を得た。権力と富を持つ者はこの期間中に(不平等是正の)リーダーシップを示す機会があったが、大筋において強欲を選んだ」と富裕層を批判した。
ブルームバーグのコラムニストであるジャスティン・フォックス氏は8月8日付の解説で、「米国においては過去数十年間、不平等が拡大してきた。そのため、経済学者のトマ・ピケティ氏や、歴史学者のウォルター・シャイデル氏の研究が示すように、資本主義社会の格差拡大は、暴力的ショックが…
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週刊エコノミスト
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