教養・歴史アートな時間

終わらない水俣。闘う人々のむき出しの素顔に迫るドキュメンタリー=勝田友巳

©疾走プロダクション
©疾走プロダクション

映画 水俣曼荼羅 「被害者」という類型を打ち破り 素顔むき出しのドキュメンタリー=勝田友巳

「ゆきゆきて、神軍」「ニッポン国vs泉南石綿村」、あるいは「れいわ一揆」と、原一男監督は少数派の怒りにカメラを向けてきた。踏みつけられた人たちの叫びを聞け。一緒に怒り、さらにはもっと怒れとたきつける。1956年に公式に確認されて以来いまだ未解決の水俣病を、20年前から取材してきたという。3部構成、6時間12分。と聞けば尻込みするだろうが、あっという間である。

 原監督は小さい声を拾う。被害者の中でもさらに少数派を追いかける。水俣病の手足のしびれなどの症状は、メチル水銀が末梢(まっしょう)神経を侵したからだと信じられてきたが、現在では脳の中枢神経に異常が生じているとされる。その説を最初に唱えた医師がいる。学会で異端視されながら独自の診察法を開発し、精力的に患者の間を回って協力を呼びかける。

残り827文字(全文1219文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事