【週刊エコノミスト創刊100年キャンペーン実施中】いまなら週刊エコノミストオンラインをお申し込みから3カ月間無料でお読みいただけます!

資源・エネルギー

ガソリン高騰対策の補助金が機能しない?複雑すぎる業界構造=編集部

政府のガソリン価格高騰対策は異例の対応が目立つ
政府のガソリン価格高騰対策は異例の対応が目立つ

ガソリン高騰対策 元売りに「補助金」 初投入の効果不透明=和田肇

 政府は11月19日に閣議決定した新しい経済対策に、ガソリン価格高騰対策を盛り込んだ。レギュラーガソリンの全国平均価格が1リットル=170円を超えた場合、最大で1リットル当たり5円分を石油元売りや輸入商社に対して補助する方式で、ガソリン高騰対策としては初めての試みとなる。ただ、ガソリン流通の仕組みは複雑に入り組んでおり、補助金の効果が出るかどうかは不透明だ。

 石油情報センターによれば、ガソリンの全国平均価格は新型コロナウイルスが感染拡大した昨年4~5月、1リットル=130円を割り込む水準まで下落したが、今年11月15日時点では168・9円と170円突破は目前に迫る。リーマン・ショックの起きた08年には180円を超したこともあったが、それでも元売りへの補助金が実施されなかったのは、ガソリン流通の仕組みの複雑さがある。

 ガソリンは原油を輸入した元売りが製油所で精製したり、ガソリンそのものを商社が輸入したりして国内で流通させる。そのガソリンを購入するのが「元売り特約店」や燃料商社と呼ばれる卸売業者で、元売り特約店は自社のガソリンスタンドを通じて消費者に販売したり、運送業者や工場に販売したりしている。また、全国各地にある燃料商社は、元売り系列外だけでなく元売り系列のガソリンスタンドにも販売する。

仕入れ先の把握困難

 つまり、ある特定の元売り系列の看板を掲げるガソリンスタンドであっても、実際に販売されているガソリンはその元売りから仕入れたものとは限らない。また、元売り同士が「バーター契約」を結び、互いの系列のガソリンスタンドにガソリンを融通するケースもある。国内で販売されるガソリンは品質に大きな差はなく、消費者にとっては店頭で供給されるガソリンがどこから仕入れたのかを知るのは困難だ。

 今回の補助金は軽油、灯油、重油も対象とし、年内の開始を目指している。ただ、ある関係者は「行政から厳しく監視されるため、補助金を受ける元売りは卸売価格を必ず下げるだろうが、実際に消費者の手元に届くまでに、補助金の効果が流通段階で吸収されてしまうのではないか」と懸念を示す。流通の過程で値上げをしても分からなければ、補助金の分だけ流通業者が得をすることにもつながりかねない。

 政府はバイデン米政権からの要請を受けて石油備蓄の市場放出も検討しており、ガソリン価格の抑制になりふり構わず取り組む姿勢だ。

(和田肇・編集部)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月6日号

狭まる包囲網 税務調査 富裕層、暗号資産、リベート……14 国税が示す相続財産評価 “伝家の宝刀”の3基準 ■加藤 結花17 狙われる富裕層 海外口座情報は190万件超 円安で多額の為替差益に注意 ■高鳥 拓也20 海外財産 「3調書」が国税の捕捉の武器 富裕層を狙い提出義務者拡大 ■多田 恭章23 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事