最強・米国より、もたつく中国の経済統計を注視すべきこれだけの理由=藻谷俊介
今回も、前回に続いて中国経済の変化に注目したい。
読者の中には、世界が断絶したように見えるこの新型コロナウイルス禍において、なぜ筆者が中国にこだわり続けるのかいぶかしく思う人もあるだろう。米トランプ政権以降のデカップリング(中国を経済的に切り離す)政策によって、中国を観察する意味が低下していると考える向きもあろう。
しかし現実の世界経済は、政治的に容易に切ったりつなげたりできるものではなく、重層的に絡み合った糸玉のようなものだ。その中で、近年は中国が最初に変化し、他の国がそれに追随していくパターンが定着している。
図1は経済協力開発機構(OECD)による景気先行指数の推移である。OECDが主要国それぞれから10前後の経済指標を選んで合成し、すう勢を除去して「景気の波」だけを抽出したものだ。先行指数という名称ではあるが、景気先行性はほとんどなく、先読みには使えないが、各国の景気の波を一度に比較できるのがこの指数の長所である。
図1を見ると、今回のコロナ禍以降の波動も中国が先行し、日米が追随していることは明らかである。購買力平価ベースの経済規模(GDP)では米国を大きくしのいで世界第1位である中国は、すでにそこまでの駆動力を持つと認めざるを得ない。
筆者が中国に注目するのは、現在の景気低迷からの脱出も、年初からもたついている中国が最初になるだろうと予期するからである。逆に言えば、米国…
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週刊エコノミスト
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