バイデン政権にも影響力 労組の原動力は女性首脳=小林知代
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米連邦議会で民主・共和党に分かれて議論が続いたバイデン政権肝煎りのインフラ投資法は、11月15日に成立した。一世一代の大型財政施策と位置づけられ、総額1兆ドル(約115兆円)を投じる。投資先は高速道路や公共交通機関に加え、水インフラ、インターネット回線など幅広い。
EV税控除にも労組色
インフラ投資法に続き、社会保障や気候変動対策といった「ソフトインフラ」の投資を促進する「ビルド・バック・ベター(より良き再建)法案」が11月末に下院を通過した。この法案には、電気自動車(EV)の優遇措置も含まれている。
EV購入に対しては、元々一定額の税額控除は存在していたが、同法案は、労働組合員が働く工場で生産されたEVにはさらに追加の税額控除が認められ、米国産EV電池を搭載している場合はさらに追加の税額控除が受けられる。テスラや日本はじめ海外メーカー車は対象外となり、明らかにフォード・モーター、ゼネラルモーターズ(GM)、クライスラー(現ステランティス)の「ビッグスリー」にとって有利な措置となる。同法案に対しては共和党や保守系民主党から強い反対があり、修正を余儀なくされるとみられている。
同法案の行方は定かではないが、労組の影響がバイデン政権の政策に表れていることは確かだ。このことは、ホワイトハウスでのインフラ投資法の大統領署名式に招かれたメンバーを見ても明確だ。議会民主党の重鎮に交じり、組合関係者も参加している。すなわち、UAW(全米自動車労働組合)、USW(全米鉄鋼労働組合)、チームスターズ(全米運輸労働組合)、SMART(板金関連従事者の組合)などである。これらの組合の代表者がバイデン大統領を取り囲み、署名する瞬間を見守った。バイデン大統領は、ブルーカラーのための経済発展を公約に掲げ…
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週刊エコノミスト
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