スタグフレーションが来たら、どうなる不動産価格=長嶋修
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不動産価格に下落圧力がかかるとき/120
物価が上昇してマネーの価値が下がる現象を伴う景気後退期でのインフレ、すなわち「スタグフレーション」について、頭の体操としてインフレレベルや金利動向に伴う不動産市場への影響を考えてみよう。
2008年のリーマン・ショック後、「国内・海外とも経済・政治的に何が起きてもおかしくはない」と、突発的な事態に備える投資家が、実物資産であるゴールド(金)を保有する動きを見せた。金は輸入品であり、ドルと連動するため、1990年前後のバブル期の円建て金価格はインフレ率に比例して上昇することはなかったが、00年代前半に1グラム当たり1000円台だった金価格は、現在7100~7300円台で推移している(田中貴金属工業の店頭税込み小売価格)。
これは一義的には「有事の金」として、円などの通貨から金へと資金が向かう逃避的・リスクヘッジ(回避)的な動きだが、こうした状況で不動産にも実物資産としての期待が集まる。もう一つ大きな理由に、なんといっても「カネ余り」があるだろう。日米欧の中央銀行が8000兆円にまで資産を膨らませ、日本の家計金融資産残高は2000兆円近い。
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週刊エコノミスト
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