船出した泉・立憲民主党 「オワコン」危機を克服できるか=人羅格
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「旧民主党色」を何とか払拭(ふっしょく)しようとする、切羽詰まった思いが伝わる布陣である。
衆院選で敗北した立憲民主党の代表に、47歳の泉健太氏が選ばれた。リベラル色の強かった「枝野体制」の軸足を中道寄りに切り替えたシフトチェンジである。
「(立憲は)自民党の方ばかり見て、対抗していた」。新代表に就任した泉氏は就任直後の記者会見でこう述べ、枝野幸男前代表らによる党運営は政権批判に傾斜し過ぎたと辛らつに指摘した。
立憲民主はさきの衆院選で、改選前の110議席を維持できないばかりか、100議席にすら届かぬ想定外の敗北を喫した。事実上、「独り負け」に等しかった。
しかも、日本維新の会が議席を3倍以上増やし、選挙後の世論調査の多くで、立憲の支持率を上回った。存在感という点で立憲は「野党第2党」に転落しかけているといっても過言ではない。
4年前、枝野氏が旧民進党の「希望の党」合流に反旗を翻したことを起点に、立憲は結成された。それだけに「枝野プロジェクト」が挫折した影響は単なる敗北にとどまらない。使命を終えた「オワコン政党」ではないかと国民に判断されかねないためだ。
だからこそ、代表選に出馬した4候補のうち、旧国民民主党出身で、枝野氏から最も遠い泉氏が選ばれた。泉氏が、国会議員を中心とする決選投票で圧勝したことは、一種のサプライズだった。
「枝野離れ」鮮明に
決選で泉氏と対決した逢坂誠二氏はリベラル色の強い勢力が後ろ盾であり、泉氏への包囲網が敷かれるとの予想もあった。ところがフタを開ければ、大差がついた。1回目投票で敗退した小川淳也氏を支持した議員の大半は、泉氏支持に回ったとみられる。
仮に逢坂氏が代表の座を得ても、翌日から内外の「枝野亜流」批判にさらされ、党内には不満のガスが充満したことだろう。「枝野派」が主導権を握り続けたいのなら、今回は小川氏支持に回るしか、選択肢はなかった。
泉氏就任にあたり、各党の反応はおおむね穏やかだった。「枝野路線」を見直すといっても、来夏参院選での共産党との選挙協力は維持される見通しだ。一方で、枝野氏と敵対感を強めていた国民民主党との関係は若干、改善した。目先の逆風をかわすには有効な選択だったかもしれない。
ただし、「泉立憲」が独自色を発揮する道は険しい。今回の立憲民主の敗因は「枝野氏の発信不足」や「共産党との深入りしすぎた共闘」だけで片付けられるほ…
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週刊エコノミスト
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