教養・歴史書評

平成期16人の首相の実績を再検証。政治指導者の条件問う=井上寿一

平成期16人の首相評伝 政治指導者の条件問う=井上寿一

 2021年の日本政治におけるもっとも大きな出来事は、菅義偉内閣から岸田文雄内閣への交代だろう。政権交代ではなく、自民党と公明党の連立の枠組みは変わらない。首相が代わることで何が変わるのか、政治指導者に求められる条件とは何か。考える手がかりを求めて、宮城大蔵編著『平成の宰相たち』(ミネルヴァ書房、3850円)を読む。

 本書は平成時代における16人の首相の評伝である。世評とは異なる評価に注意が向く。例えば、小渕恵三。小渕の「『凡人宰相』の非凡さ」とは何か。外交に対する評価が高い。アジア地域主義の確立を目指して、アジア各国に対し社会的弱者の救済を訴える「人間の安全保障」概念を掲げ、実際に国連「人間の安全保障基金」の設立を表明した画期性が強調されている。

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