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教養・歴史 書評

レンタル業から転換。CCCの次の一手はシェアオフィス=永江朗

CCCがシェアオフィス事業拡大へ=永江朗

 TSUTAYA(ツタヤ)や蔦屋書店を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、本格的なシェアオフィス・ビジネスに乗り出す。ツタヤや蔦屋書店の店舗内に「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」と名づけたスペースを設け、時間制の有料シェアオフィス兼ラウンジとして提供するというもの。CCCはすでに2019年から東京・渋谷駅前の店舗にシェアラウンジを導入しているが、コロナ禍のなかでも売り上げは好調。21年12月には代官山蔦屋書店(東京)に導入。12月末時点で海外(台北)も含め13店舗で展開している。今後は全国展開を視野に入れて、まずは首都圏100カ所で展開するという。

 経営の多角化としてカフェを併設する書店が増えているが、シェアオフィスはその発展系といえる。実際、書店に併設されたカフェをのぞくと、ノートパソコンを開いて仕事をしている客をよく見かける。書店との相性がいいのかもしれない。18年、破産・閉店した岩波ブックセンター(東京・千代田区)の跡にオープンした神保町ブックセンターは、その目玉がカフェとシェアオフィス、レンタルオフィス。また石堂書店(横浜市)や文悠(東京・新宿区)などいわゆる“町の本屋”でも、シェアオフィス、レンタルオフィスを導入している。

 代官山蔦屋書店の料金は、通常プランで1時間1500円。1日プランだと6000円。アルコールプランは1時間2000円(いずれも税別)。筆者は思わず「高いな」とつぶやいたが、コーヒーはもちろん各種ドリンクやフードも込み(アルコールプランはアルコールも)だから、代官山界隈(かいわい)のカフェやレストランの料金を考えると妥当かもしれない。

 1980年代、家庭用ビデオデッキや音楽CDの普及とともに、レンタルビデオ、レンタルCDの売り場を併設する書店が全国に増えた。しかしこの数年、配信ビジネスの拡大でレンタル店は激減している。CCCのシェアオフィス・ビジネス展開も、レンタル事業からの転換と見ていいだろう。もっとも、代官山蔦屋書店のような高い付加価値を持つサービスにするにはそれなりのノウハウとスキルが求められる。


 この欄は「海外出版事情」と隔週で掲載します。

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