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国際・政治 東奔政走

茂木氏が政界「モテ男」に化けた 早くもポスト岸田にらみ綱引き=伊藤智永

平成研究会(茂木派)のパーティーであいさつする茂木敏充自民党幹事長
平成研究会(茂木派)のパーティーであいさつする茂木敏充自民党幹事長

 年末年始は政治家の発言に近未来への予言が増える。暦の改まる節目を意識するからだろう。後継者をあいまいにして長期政権を作った安倍晋三元首相が「ポスト安倍」候補の名前を具体的に列挙したのも2019年暮れ、テレビ番組に出演した時である。それまで政界やマスコミに下馬評はあっても、安倍氏自身が公言したのは意外にもこれが初めてだった。

 自らの自民党総裁4選出馬を否定し、後継者として挙げたのは順に、岸田文雄自民党政調会長、茂木敏充外相、菅義偉官房長官、加藤勝信厚生労働相の4人(肩書は当時)。司会者から尋ねられるまで、石破茂元幹事長には触れなかった。明らかに準備していた。

 この時点では、よもや年が明けて新型コロナウイルス感染症対策に苦しみ、秋に失意の退陣を余儀なくされるとは想像だにしていなかったに違いない。にもかかわらず、順番に狂いはあっても、4人のうち2人までもがすでに首相になった。的中率の高さは、さすが練達の政局観と言うべきか。茂木氏が「ポスト岸田」候補の筆頭に台頭しつつある現状は、予言の効力が続いている証しだろう。

新主流派トリオにくさび

 人物評も興味深い。安倍氏は「岸田さんは誠実な方で、相手を非常に尊重される方。あの人といると居心地が良いと感じる人は多い」と述べた。優柔不断、面白みのなさと裏腹だが、岸田首相が何はともあれ衆院選に勝ち内閣支持率を持ち直したのは、敵を作らず攻撃されにくい持ち味の功徳である。

 昨年12月、茂木派のパーティーでも安倍氏は意味深なジョークを用意していた。安倍、岸田、茂木の3氏は初当選同期。「同期一番の男前は岸田文雄、一番頭がいいのは茂木敏充、そして性格が良いのが安倍晋三と言われている」。場内に笑いが起きたが、国会議員の半分は笑わなかった。政治家には政治家の発言が裏返しに聞こえるものだ。すると「顔だけ、頭だけの二人に比べ、自分にはハートがある」と聞こえる。本当に性格が良い人は多分、こういうことは言わない。つまり笑えない。

 報道されたのはここだけだが、実際はもっと生臭かった。「平成研(茂木派)、我々清和会(安倍派)とは特別な因縁、これは宏池会(岸田派)ほど単純じゃない、特別な因縁だ」。自民党史で吉田茂の愛弟子・池田勇人と佐藤栄作から続く宏池会と現平成研は「保守本流」の血脈でつながる。岸田首相・麻生太郎副総裁・茂木幹事長の新たな「主流派トリオ」は、その正統…

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