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日本の「EV元年」なるか 日産新型EV、トヨタ・スバル共同開発EVが22年市場投入

トヨタ自動車提供
トヨタ自動車提供

これから出るEV 日産は車体・駆動系を刷新 スバルはトヨタと共同開発=加藤結花

 2022年は、日本における電気自動車(EV)の先駆者である日産自動車が新モデルを発売する。トヨタ自動車とSUBARU(スバル)も、共同開発したEVを投入する。

「選択肢が増えることで市場が広がる。(各メーカーがEVを発売しようという動きについて)歓迎する」──。

 そう語るのは日産の日本マーケティング本部の柳信秀チーフマーケティングマネジャーだ。21年にトヨタをはじめ日本の大手メーカーがEVシフトを一段と加速させたことを受けた発言だが、そこには「EVのパイオニア」としての自負がうかがえた。

 日産はハイブリッド車(HV)の全盛期だった10年12月に初代「リーフ」を発売。21年11月末時点の販売台数は、世界で約56万台、国内で約15万6000台に達した。現行の2代目リーフは、バッテリー容量62キロワット時(kWh)・航続距離458キロと、同40kWh・322キロという二つのバリエーションで展開している。

 日産は22年3月に、新型EV「アリア B6」(バッテリー容量66kWh/2WD)の発売を予定している。価格は539万円だ。ハイグレードの「B9」(同91kWh)の発売は夏になるという。

 アリアのターゲット層は、(1)日産車(主に高級車ライン)ユーザーが6割、(2)輸入車や他メーカーのユーザーが4割程度──を想定している。21年の夏ごろから開催した試乗会には、欧州の輸入車のユーザーらが集まった。

 アリアは、プラットフォーム(車体基盤)もパワートレイン(駆動装置)も刷新した。生産は、栃木工場(栃木県上三川町)の新ラインで行う。初もの尽くしということもあり、市場投入までに時間を掛けた。

 日産は三菱自動車と共同で、国内で「軽自動車のEV」も計画している。

 軽自動車は日本の自動車販売の約4割を占めるボリュームゾーン。「“EVの日産”を量の面でもアピールする」(柳氏)。

 発売は22年度の初めごろを目指しており、価格は補助金(20万円)を活用すると200万円を切る見込みだ。

 バッテリー容量は20kWh。航続距離は170キロ前後。地方などで複数台の車を所有している家庭の2台目や自治体の公用車、法人の営業車などでの利用を見込んでいるという。

 軽自動車のEVは、ダイハツ工業も25年までの市場投入を発表したほか、ホンダ、スズキも販売に意欲を見せている。

 スバルとトヨタは、共同開発したスポーツタイプ多目的車(SUV)のEVを22年に発売。同じプラットフォームを採用する。

SUBARU提供
SUBARU提供

 スバルの「ソルテラ」は、22年央までに日本、米国、欧州、カナダ、中国に、トヨタの「bZ4X」は、日本、米国、欧州、中国、韓国などに投入される予定だ。

 両社は、スポーツカーの領域でスバル「SUBARU BRZ」とトヨタ「GR86」を共同開発した実績があり、開発に対する考え方の共有や、人的交流などで、協力の土台がある。

 EV開発では、スバルのAWD(四輪駆動)性能、悪路も対応する走破性といった性能面や安全性、トヨタの電動化技術、コネクテッドなどの先進技術など両社の強みを持ち寄ったという。

 トヨタはまた、高級車ブランド「レクサス」の全車種をBEV化し、35年にグローバルでBEV100%を目指すと発表した。

 EVの国内普及に向け必須なのが充電設備の強化だ。

 リーフで先行した日産は、国内ディーラー約2100店舗のうち1900店舗に充電設備を設置。原則24時間365日利用できる。

 国内に約5000の販売拠点があるトヨタは、EVに関する説明会では25年ごろをめがけて販売店への充電設備の設置を段取りしている、と明らかにした。「充電設備は協調領域」(豊田章男トヨタ社長)であり、メーカーにとどまらず、エネルギー企業、さらには行政との連携が必須となる。

(加藤結花・編集部)

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