FRBはインフレの「真犯人」か 積極的な利上げ促す声も=岩田太郎
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米国では、高止まりを続ける物価上昇の主な要因の一つとされた、新型コロナウイルスによる供給網の混乱が収まりつつあると報告される。そうした中、インフレの重要な誘因が米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和的な政策であった可能性が指摘されるなど、議論が白熱している。
ニューヨーク連銀は1月4日付のブログで、世界的な供給網に関する新たな指標である「グローバル・サプライチェーン・プレッシャー・インデックス(GSCPI)」を発表。大陸間の輸送料や航空運賃などを基に、「世界のサプライチェーンへの圧力は歴史的にまだ高いものの、すでにピークに達し、今後は緩和され始める可能性がある」と分析した。米経済専門局CNBCは同日付の記事で、「レーガン元政権以来のインフレに悩まされてきたバイデン政権にとり、歓迎すべき猶予になるかもしれない」との見方を示した。
一方、ロヨラ・メリーマウント大学のサング・ウォン・ソン(孫聖源)教授は2021年12月30日付のCNBCの記事の中で、「賃金上昇と物価上昇がらせん状に互いを高め合う賃金・物価スパイラルが始まった」と主張。コスト上昇分の消費者に対する転嫁が、ほとんど抵抗なく受容されていることを説明しながら、「このスパイラルは、いったん始まれば止めることは難しい」と述べ、供給網の改善とは無関係にインフレがさらに進行する可能性を示唆した。米金融大手ゴールドマン・サックスの米国株ストラテジストであるデイビッド・コスティン氏も同記事で、「賃金インフレに注目している。米経済にとり、長期化する逆風になるだろう」と予想した。
他方、全米産業審議会で労働市場分析を担当するギャッド・レバノン氏はCNBCの記事で、「今のところ、賃金上昇がインフレの主要因になっているとは認められない。実際に…
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週刊エコノミスト
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