世界経済の好発進にさお差すオミクロン株と収束後に待ち受ける「引き締め地獄」=藻谷俊介
好発進の世界経済に二つのリスク=藻谷俊介
昨年11月下旬に執筆した前回の記事(2021年12月14日号)で、中国経済に低迷脱却の様子がうかがえると述べたが、その後発表された日本の10、11月の鉱工業生産指数は連続して上昇し、国内でも景気の循環的な回復が感じられるようになってきた。
循環指標の回復傾向は、多くの主要国で見られ、世界同時回復とも言うべき様相を呈している。2022年の世界経済は存外、良い形でスタートを切ったと言える。
流れに逆らうものがあるとすれば、その第一は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の各国における感染急拡大であり、第二は中央銀行の引き締め転換であることは、論をまたないだろう。
オミクロン株の登場以来、多くの先進国では新規感染者数が過去最高を更新しており、その感染力の高さは疑う余地もない。日本ではまだ新規感染者の絶対数が少ないため、どこか人ごとのような報道が続いているが、既に東京でも新規感染者数が10倍になるのにかかる日数が6日まで縮小しており(筆者計算、1月10日時点)、12日後には100倍、すなわち1日当たり8万人超になる勢いだ。
これは経験したことのない感染者数であり、たとえ重症化率が低めだとしても、医療逼迫(ひっぱく)は避けられまい。ワクチン3回目接種の現計画では、オミクロンの広がりの速さには追い付かず、日本経済、そして世界経済に今一度ブレーキが掛…
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週刊エコノミスト
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