虚実入り乱れるSMクラブの男女から「純愛」が見える?=勝田友巳
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映画 夕方のおともだち 女王様と奴隷にして友人関係? 虚実のあわいを丁寧に描く=勝田友巳
映画監督の葊木隆一と、漫画家の山本直樹。性愛を通して人間を描く巨匠である。山本原作、葊木監督の「夕方のおともだち」は、SMクラブの男女の話。ドロドロした情念にどっぷり浸るよりは冷めた目で、しかし愛情をこめて、文字通り裸の人間の切なさと狂おしさを見つめている。
地味な地方公務員のヨシダ(村上淳)はハードマゾで、地元に一軒だけのSMクラブの常連だ。自宅で寝たきりの母親を1人で介護し、職場の同僚にからかわれながらも、足しげく通い詰める。しかし、自分を調教したユキ子女王様が突然姿を消してから抜け殻のようになってしまった。死の淵まで追い込まれる究極の責め苦を忘れられず、クラブに行っても新しい女王様ミホ(菜葉菜)とのプレーにちっとも身が入らない。やがて店が引けた…
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週刊エコノミスト
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