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日本マンガの「成熟を象徴」、没後も続く新たな展開。谷口ジロー展=石川健次

「坊っちゃん」の時代 ©PAPIER
「坊っちゃん」の時代 ©PAPIER

美術 描くひと 谷口ジロー展 日本マンガの「成熟を象徴」 没後も続く新たな展開=石川健次

 私にとっての一番は、図版にも挙げた『「坊っちゃん」の時代』(共作・関川夏央)だろう。いや、48歳の中年男性がそれまでの記憶を保ったまま14歳の自分にタイムスリップする『遥(はる)かな町へ』、あるいは学生時代に読んで初めてこのマンガ家を知った『事件屋稼業』(同)も勝るとも劣らない。ともあれ、これらが私のベスト3には違いない。

 さらに作品を挙げれば、2012年からテレビドラマ化されて今もシリーズを重ねている『孤独のグルメ』(原作・久住昌之)、平凡な中年男性がほとんど話すこともなく、ただひたすら歩くだけの『歩くひと』など、人気作、話題作は尽きない。日本はもちろん、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ章を受章するなど海外でも広く知られ、多くの愛読者をもつマンガ家、谷口ジロー(1947〜2017年)に本展は迫る。

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