宙に浮くバイデン大統領の超大型環境・福祉法案「ビルドバック・ベター」=岩田太郎
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気候変動で板挟みのバイデン政権 「ビルドバック・ベター」に賛否交錯=岩田太郎
米バイデン政権が発足して1年が経過し、その目玉政策の一つである温暖化ガス排出量削減の「成績評価」と「近未来の実行可能性」が議論されている。
米環境保護局(EPA)元高官のマーゴ・オーゲ氏は米ABCニュースの1月20日付記事で、「バイデン大統領はよくやっている」と高く評価。同記事は、2023~26年製の乗用車や軽量貨物トラックに適用される排出基準値を、従前より大幅に厳格化するEPAの新規則を具体例として挙げた。
一方、米環境団体「サンライズ・ムーブメント」のバーシニ・プラカッシュ理事長は同記事で、「バイデン氏は就任直後に、温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定に米国を復帰させ、トランプ前大統領の環境破壊的な大統領令のほとんどを無効化するなど、強いスタートを切った」と一定の評価をした上で、「その後は空虚な約束を繰り返し、しっかりとした成果が出せていない」と批判した。
また、環境・エネルギー問題に特化した米サイト「E&Eニュース」は1月6日付の記事で、「科学研究団体のカーボン・モニターによれば、政権の『2030年までに排出量を05年のレベルの半分にする』という野心的な目標にもかかわらず、米排出量は20年11月から21年10月末の1年間に前年同期比7%増加した。これは、米経済がコロナ禍による20年の落ち込みから回復する中で、石炭・石油・ガスの消費量が伸びたからだ」と解説した。
EV補助金に反対論
こうした中、バイデン大統領の挽回のチャンスと見られていた超大型環境・社会福祉法案「ビルドバック・ベター」が共和党と民主党中道派の反対で宙に浮いている。
米『ニューヨーク・タイムズ』紙は1月20日付の記事で、「バイデ…
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週刊エコノミスト
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