国際・政治ワシントンDC

コロナ前の実店舗経営よりロックダウン下の宅配で利益が上がった!米国で根強いすし人気=溝口 健一郎

宅配のウーバーイーツでも人気 筆者撮影
宅配のウーバーイーツでも人気 筆者撮影

米国で高まるすし人気 コロナ禍で強みを発揮=溝口健一郎

 新型コロナウイルスによる飲食業界への影響は甚大で、すしレストランも例外ではない。度重なる営業規制によって閉店を余儀なくされたすしレストランがワシントン地域でも出ている。

 筆者の長年の友人は、ワシントンから車で2時間ほどのリゾート地、デラウェア州リホボスですしシェフをやっている。昨年、数年ぶりに直接会うことができた。コロナ禍でさぞかし苦労しているだろうと心配したのだが、果たして杞憂(きゆう)であった。

 コロナ拡大の当初こそダメージがあったものの、数週間後にはテークアウトの注文が毎日予想を超えた数となり、売り上げが急回復したという。

 実店舗は閉店していたため、光熱費や人件費は節約でき、需要拡大に応じてすしの値段は上げることもできたので、むしろ利益は以前より改善したというから驚きだ。冷めるのを心配しなくていいすしはもともと出前で人気だが、ロックダウン(都市封鎖)中でもその強みを発揮したようだ。

 米国のすしは1960年代にロサンゼルスのリトルトーキョーで日本人が開店した店が発祥とされる。その後ハリウッドでのすしブームを経て、80年代にはニューヨークですし店が数多く開店するようになった。その間、アボカドを使ったカリフォルニアロール、スリラチャ(チリソース)を味付けに使ったスパイシーツナロール、サーモンとクリームチーズのフィラデルフィアロールと、米国のすしは独自の進化を続けてきた。

 特に、のりを内側に巻き込む裏巻きの発明は、のりの舌触りが苦手な米国人もすしを楽しむことを可能にした。わさび抜きをスタンダードにしたのも慧眼(けいがん)だろう。

 筆者がニューヨークに住んでいた90年代には既に多くのすしレストランがあったが、あくまで一部の美…

残り600文字(全文1350文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事