欧州でエネルギー危機の懸念、脱ロシア依存は可能か=熊谷徹
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欧州でエネルギー危機の懸念 独は「脱ロシア依存」を模索=熊谷徹
ドイツと欧州連合(EU)は、ウクライナ危機が深まってロシアがガス供給を大幅に減らす事態に備え、国家備蓄の構築や輸入先の多角化への努力を始めた。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は2月5日付電子版で「ハベック経済気候保護大臣は、ウクライナ危機に鑑み、ロシアへのガス依存度を減らす方針を打ち出した」と報じた。ドイツはガス輸入量の50・7%をロシアに依存。同相は、「他国からの輸入量を増やさなければ、我々はロシアによって手玉に取られる危険がある」と指摘し、ロシアからドイツへ直接ガスを送るパイプライン、「ノルド・ストリーム2(NS2)」にも触れて、「NS2はドイツのロシアへの依存度を高める。ウクライナ情勢を見て、ロシアがガスをドイツに対する武器として使うかもしれないという危惧を深めた」と述べ、NS2稼働に反対した。
ドイツのガスタンクの2月初めの充填(じゅうてん)率は35%。90%だった2年前から急減している。国家備蓄の対象は原油のみ。FAZは、「政府は、ガスの国家備蓄を始めるか、ガス会社に貯蔵タンクの最低充填率を義務付ける準備を進めている」と伝えている。
ドイツの公共放送ARDの2月7日付ウェブ版は、「EUが経済制裁を発動した場合、ロシアは報復として西欧へのガス供給量を大幅に減らす危険がある。このためEUはエネルギー問題担当委員をアゼルバイジャンと米国に派遣し、万一の際にガスの供給量を増やすように要請している」と伝えた。EUはカタールやアルジェリアとも交渉している。EUのガス消費量の約40%はロシアからの輸入だ。
ARDは、EUのフォンデアライエン委員長の「過去においてロシアは、ガス需要が多…
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週刊エコノミスト
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