国際・政治東奔政走

明治77年と戦後77年 「第2の敗戦」避ける知恵を=平田崇浩

岸田文雄首相(左)と山口那津男・公明党代表(右)は蜜月を演出するが……(補正予算成立後にグータッチであいさつ、2021年12月20日)
岸田文雄首相(左)と山口那津男・公明党代表(右)は蜜月を演出するが……(補正予算成立後にグータッチであいさつ、2021年12月20日)

 先の大戦が終結して今年で77年になる。特に節目と言えそうな数字ではないが、実は明治元年(1868年)から日本の敗戦(1945年)までが77年。明治維新によって新たな国づくりを目指した日本が、欧米列強に追いつこうと富国強兵に突き進み、亡国の淵に落ちるまでと同じ年月が戦後に刻まれることになる。

公明党への期待と苦言

 元公明党衆院議員の赤松正雄さん(76)が『77年の興亡──価値観の対立を追って』(出雲出版)を昨年末に出版した。第1の77年サイクルには「西洋対日本」、第2のサイクルには「保守対革新」という価値観の対立があり、その中で日本は国力の急進と後退を繰り返した。赤松さんは二つの山からなるM字に例え、2022年は次の山へと向かう「時代の大きな転換期」になると予測する。

 問題は、「失われた30年」と称される国力の後退期が今年で底を打ち、再び上昇に転じる兆しが見えないことだ。戦後の東西冷戦期、外交・安全保障では米国に従属しながら高度経済成長を成し遂げた日本。しかし、冷戦終結後の経済のグローバル化に順応できず、産業の空洞化と人口減少による国力の後退が長らく続く。

 赤松さんの指摘に従えば、西洋文明の受容から始まった第1サイクルの価値観対立は、国体の本義を皇国史観に求めた日本の敗北に終わった。戦後の価値観対立は米ソ冷戦の代理戦争の様相を呈し、「保守=資本主義」対「革新=社会主義」というイデオロギー対立で日本国内が二分された。ソ連崩壊後、弱体化した革新に「リベラル」が取って代わったが、保守対リベラルの価値観対立の中から次代への処方箋は示されていない。

 次なる77年の第3サイクルへ向けて鍵となるのが、公明党の掲げる「中道主義」だと赤松さんは説く。だが、公明党が自民党と連立政権を組んで20年余りが経過した。失われた30年の大半に責任を負うべき政党だ。赤松さんは、社会保障政策では福祉の推進役として、外交・防衛政策では自民党強硬派への歯止め役として、与党公明党の果たした役割の大きさを強調しつつ「公明党の自民党化」を懸念する声に同調する。

 選挙で自民党候補を支援して政治を「安定」させる見返りに、社会保障や政治腐敗防止などの「改革」を進めるのが自公連立の目的だったはず。しかし、「弱者救済」の掛け声とは裏腹に経済格差は拡大し、どんなに政権不祥事が相次いでも選挙になると自民党の守護神のごとく集票にいそしむ。

失われた30年への責任

 公明党の現状に対する赤松さんの苦言は厳しい。「自民党の公明党化を狙っていながら、気がついたら公明党の自民党化が進んでいたと言われてはいないか」「改革よりも安定を叫ぶ選挙は明らかに目的を取り違えている」──。

 赤松さんは1945年生まれ。第2サイクルの期間と人生が丸々重なる。政界随一の読書家・思想家として、かねてより日本近現代史の77年周期説に着目し、「第2の敗戦…

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週刊エコノミスト

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