気候変動対策重視のはずの米バイデン政権でガス・石油開発許可が増えている「怪」=中園明彦
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ガス・石油新規開発の許可 バイデン政権下で増加の“怪”=中園明彦
バイデン政権は1月20日に発足から1年を迎え、メディア各社やアナリストが通信簿を出した。評価はさまざまであったが、気候変動対応については、おおむねすべての機関が高得点を付けた。
バイデン政権はパリ協定に復帰し、気候変動特使を任命、大統領自ら気候変動サミットを主催し、米国として2030年までに05年比50~52%の温室効果ガスの削減、50年までに排出量実質ゼロという野心的な数値目標を発表した。更に昨年11月に英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)においても、各国首脳に積極的に数値目標を掲げるよう働きかけ、トランプ政権時代の4年間の遅れを必死に取り戻そうとした。
ところが、今回1年のレビュー(振り返り)を行った際、意外な事実が明るみに出た。
バイデン政権が連邦用地における石油・ガスの新規開発許可を次々と承認しており、初年度に3557件と、トランプ前政権初年度の2658件を上回っていたのだ。しかも、承認率も98%と、前政権の94%を上回っていた。中でも昨秋にメキシコ湾の海底油田開発のために米国史上最大となる8000万エーカー(約32万平方キロメートル)の連邦用地をオークションに出したことは目を引いた。しかもこの発表はCOP26の数日後であった。
バイデン大統領は、連邦用地での石油・ガス新規開発を禁止すると選挙公約で掲げていた。それだけに、環境保護団体はショックと失望を隠し切れず、バイデン政権を批判すると同時に、大統領令を使って開発許可を取り下げるべきとの嘆願書を出した。さらに、環境活動家たちは今年11月の中間選挙で棄権票を投じることで現政権不支持を表明するよう圧力をかけた。それ…
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週刊エコノミスト
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