中露の結束に米で高まる警戒 「二正面作戦」が難題に=坂東賢治
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「世界を変えた1週間」と呼ばれた1972年2月のニクソン米大統領訪中から50年が過ぎた。米国は中ソ対立の激化やベトナム戦争の泥沼化から中国と協調する道を選び、対ソ戦略で有利な立場に立った。ウクライナ危機が深刻化する中、米国では半世紀前を回顧しつつ、中露への対応策をめぐる議論が再燃している。
2月4日の北京冬季五輪開会式に出席したロシアのプーチン大統領と中国の習近平主席は会談後、米国を強く意識した共同声明を発表した。かつてない結束ぶりを知中派のラッド元豪首相は「中国の外交政策の大きな転換」と位置づけ、米紙『ニューヨーク・タイムズ』(2月22日)は「新しいタイプの冷戦の前兆」と呼んだ。
米国の力が衰退する中、中露とどう渡り合っていくのか。国際ジャーナリストのザカリア氏は「なぜバイデン政権は敵を団結させるのか」と題した米紙『ワシントン・ポスト』への寄稿(2月21日)で「中露をひとくくりにするのは戦略よりイデオロギーを重視する表れ」と批判した。
その上でニクソン訪中をお膳立てしたキッシンジャー元大統領補佐官に例え、ワシントンはロシアを中国から引き離そうと「逆キッシンジャー」に動いたが、それは「プーチンに対する甘い誤解」だったと指摘し、「必要なのは単にキッシンジャーだった」と対中関係改善の必要性を説いた。
トランプ前政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたタカ派のボルトン氏は米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』への寄稿(2月16日)で今の中露関係を「枢軸に至らない協商関係」と位置づける一方、協力関係の強化で「中露からの脅威は数倍に増す」と警戒を示した。
一方でボルトン氏は「モスクワと北京のつながりを断ち切ることができればより安全であることは間違いないが、そうした可能性は限定的…
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週刊エコノミスト
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