ウクライナ戦争でドイツ防衛政策が大転=熊谷徹
有料記事
ドイツが防衛政策を大転換 ウクライナ戦争で軍備増強=熊谷徹
ドイツのショルツ政権は、「ロシアのウクライナ侵攻で欧州全体の安全保障が脅かされている」として、2月27日、東西冷戦終結以来の安全保障政策を転換し、防衛予算の大幅な増額を発表した。
独保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は2月28日付紙面で「ショルツ首相は連邦議会で歴史に残る演説を行った。ドイツは連邦軍のために1000億ユーロ(約13兆円)の特別基金を設置して兵器の近代化、弾薬の調達を行う。さらに首相は、年間防衛支出が国内総生産(GDP)に占める比率を、現在の1・4%から2%超に引き上げることを明らかにした」と報じた。今年の防衛予算は約500億ユーロ(約6兆5000億円)なので、特別基金の規模は約2倍になる。
同紙によると、ドイツは東西冷戦終結後、「外国に侵略される危険は遠のいた」と、年々防衛予算を減らしてきたため、兵器の老朽化や弾薬不足が深刻化。連邦軍のある退役将校は、「今ドイツに侵略の危険が迫ったら、連邦軍は装備不足のために、国を守れない」と、メディアに語っていた。
独日刊紙『南ドイツ新聞』は、2月26日付電子版で「ドイツは、これまで北大西洋条約機構(NATO)加盟国としては唯一、ウクライナに対する武器供与を拒んできた。しかしショルツ政権は方針を転換し、約1000挺(ちょう)の携帯式対戦車ロケット砲、約500発の携帯式対空ミサイルなどをウクライナに供与すると発表。さらにオランダ政府がドイツ製の対戦車兵器400挺をウクライナに送ることも許可した」と報じた。ドイツ以外の欧州各国のメディアはドイツが武器供与について同盟国と足並みをそろえたことを、前向きに評価している。
独日刊紙『ヴェルト』などは2月2…
残り648文字(全文1398文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める