【ウクライナ侵攻】経済のグローバル化は終焉したのか―米国で大議論の最前線=岩田太郎
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ウクライナ侵攻で経済も激変 グローバル化は「閉幕」か=岩田太郎
ロシアによるウクライナ侵攻という予期せぬ出来事に直面し、世界経済の前提条件に根源的な変化が起きたとの議論が西側大物エコノミストを中心に交わされている。
米著名投資家のビル・アックマン氏は3月7日付のツイートで、「我々の多くはまだ気付いていないが、第三次世界大戦が始まったようだ」として、近未来における経済の大変化を予測した。
ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は3月3日付の評論サイト「プロジェクト・シンジケート」で、「米国においてはベトナム戦争中の1967年に国内総生産(GDP)に占める国防費の割合は11・1%まで上昇したが、冷戦終結の89年には6・9%まで下がり、今日では(その半分である)約3・5%だ。英国やフランスでは2%超、ドイツやイタリアに至っては1・5%である。各国では防衛経費が削減できた『平和の配当』により、生活水準が押し上げられた。だが、ロシアのプーチン大統領のおかげでドイツが国防費の割合を2%以上に増額するなど、『平和の配当』は終わろうとしている」との見解を表明した。
一方、世界銀行のチーフエコノミストを務めるカーメン・ラインハート氏は3月5日付の米『ワシントン・ポスト』紙の記事で、「グローバル化の黄金期は2008年の世界金融危機で終わり、それ以降、脱グローバル化が徐々に進んでいたが、今回の戦争でさらに強引な形で進行した」と述べ、世界経済がブロック化に向かっていると示唆した。
ノーベル経済学賞受賞者であるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授も同記事で、「もはや以前と同じではない。我々は、切り離しと関係解消のプロセスを目撃することになる。戦争が、知的に正当化し得なかったグローバル化の一章を閉じ…
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週刊エコノミスト
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