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経済・企業 深層真相

日鉄副社長がトヨタ特許訴訟でも話題の「薄板」事業部長を続投する 「対トヨタ」の姿勢が鮮明な日鉄人事

日本製鉄の来期人事に見る「対トヨタ」の強気姿勢

 鋼材の値上げや特許侵害での提訴。トヨタ自動車に対し強気の姿勢をみせる日本製鉄の2022年度役員人事はやはり「対トヨタ」がにじむ内容だった。

 最大の目玉は、自動車のボディーに使われる高張力鋼板や特許訴訟の対象となった電磁鋼板など薄板事業部のトップを務める広瀬孝常務執行役員の処遇だ。日鉄で最も生産量が多い薄板の事業部長の経験者は、営業部門を統括する副社長に就くのが通例。広瀬氏も副社長に昇格するが、異例なのは薄板事業部長職を続投する点だ。

 橋本英二社長=写真=は、高級鋼材とされながら、採算性が低い自動車用鋼板の値上げを営業部門の最重要課題に掲げてきた。橋本氏、広瀬氏とも海外部門の在籍が長く、トヨタに有利とされる日本流の商慣習を変えようとしている。薄板事業部を直轄する前例のない副社長として、広瀬氏は対トヨタの指揮を執ることになる。

 営業統括の現副社長、中村真一氏は系列商社の日鉄物産社長へ転じる。中村氏は自動車用鋼板の営業経験が長く、今の日鉄では数少ないトヨタに近い存在と目されてきた。中村氏の交代からは、日鉄の強硬姿勢がしばらく変わりそうにないことがうかがえる。

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