国際・政治東奔政走

佐藤勉氏、片山さつき氏……自民で相次ぐ派閥離脱は再編の予兆なのか=伊藤智永

麻生派を離脱した佐藤勉氏(中央)はもともと菅義偉前首相(右)と関係が深かった(2021年10月の衆院選で)
麻生派を離脱した佐藤勉氏(中央)はもともと菅義偉前首相(右)と関係が深かった(2021年10月の衆院選で)

佐藤勉、片山議員らが離脱 自民派閥に流動化の予兆=伊藤智永

 自民党の各派閥で小さなゴタゴタが相次いでいる。麻生派が佐藤勉前総務会長ら4議員の離脱で第3派閥に後退、二階派から片山さつき元地方創生担当相が除名、岸田派・麻生派・谷垣グループの3事務総長が会食して「すわ大宏池会か」と勘繰られれば、石破茂元幹事長の勉強会に菅義偉前首相に近い無派閥議員が大挙参加し「菅グループ結成か」と臆測が飛ぶ、といった具合だ。一つ一つは小さくとも、そうした点と点がつながって線となり、線が交わって面になると、初めて絵図に見えることがある。いま起きている派閥のざわつきも、今夏の参院選後には思いがけない派閥再編の予兆だったと分かるに違いない。

 佐藤氏は菅氏の初当選同期で、盟友と呼ぶべき間柄。菅氏が得票7割で圧勝した2020年総裁選では、菅選対事務総長として各派閥の調整役を務め、その論功で党三役に起用された。いわば麻生派内の「非公然菅派」だった。

 もともとは旧宮沢派に所属し、加藤紘一元幹事長の「加藤の乱」に加わって敗れ、小里派→谷垣派→古賀派を経て17年、麻生派に転じた。初入閣が麻生太郎内閣の国家公安委員長(後に総務相)だった縁で、第2次安倍政権副総理として派閥拡張に乗り出した麻生氏の誘いに応じた移籍だったが、そもそも当時官房長官の菅氏が麻生派に送り込んだとの見方もできる。

麻生氏との対立の深層

 この時、佐藤氏は他に5人の議員を連れて行った。小政党が一つ作れる人数で、普通の政治家にできる技ではない。目立たずとも、なかなか菅氏好みの策士なのだ。それもそのはず、当選9回・勤続25年を超えた議員生活の大半を、国対委員長や衆院議院運営委員長など水面下の議員工作で過ごしてきた。安倍政権最大の「実績」とされる15年の安全保障関連法は、「官邸の菅、国対のサトベン」の両輪があったから成立した。当然、野党にもパイプがある。

 今回の離脱をマスコミは、「麻生氏の取り巻き偏重体質への愛想づかし」と解説した。とりわけ新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言期間中、銀座で飲み歩いて落選した麻生氏最側近の松本純元国家公安委員長については、佐藤氏が離党を強く主張しただけに、衆院選後の無原則な復党・派閥復帰に「茂木敏充幹事長を介した麻生氏のゴリ押し」と反発しても不思議はない。だが、それで仲間3人と派閥離脱とはならない。

 22年度予算案の衆院通過にあたり、野党の国民民主党が異例の賛成に回った。燃油価格高騰対策で同党が求めてきたガソリン税を一時軽減する「トリガー条項」発動と引き換えの思い切った対応で、玉木雄一郎同党代表は3月4日、岸田文雄首相・山口那津男公明党代表と異例の党首会談を行った。「与党入りへの布石か」との観測も流れる。実は、国民民主党との窓口役を裏で担っていたのが佐藤氏だったことはほとんど知られていない。「国対族」の面目躍…

残り941文字(全文2141文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

2月7日号

賃上げサバイバル16 大企業中心の賃上げブーム 中小の7割は「予定なし」 ■村田 晋一郎19 インタビュー 後藤茂之 経済再生担当大臣 賃上げは生産性向上と一体 非正規雇用の正社員化を支援20 「賃上げ」の真実 正社員中心主義脱却へ ■水町 勇一郎22 賃上げの処方箋 「物価・賃金は上がるもの」へ意 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事