国際・政治ワシントンDC

米国で今、趣味を事業にして成功する女性が増えているワケ=小林知代

ニット帽子の評判が一気に拡大
ニット帽子の評判が一気に拡大

五輪選手のニット帽で注目 趣味を事業にした人々=小林知代

 今年2月の北京冬季五輪は政治レベルでは米中対立が影を落としたが、米国内ではある起業家が一般市民の注目を集めた。クリスティーナ・パーディー氏。米国チームの公式ニット帽子とミトン型手袋を制作した会社「シット・ザット・アイ・ニット」の創業者であり、最高経営責任者(CEO)だ。趣味の手芸を一大ビジネスに育て、200人の社員を抱える経営者となり、今や、メディアにひっぱりだこだ。

 幼い時から手編みが得意だったパーディー氏は母親とともに2014年、ニット帽子をボストンの大規模青空市で売り、手応えを感じた。翌年、「好きなことをしないで後悔するより失敗したほうがまし」と25歳でボストンに会社を設立した。ペルーなどのヒスパニック系女性を多数編み手として採用し、順調に事業を拡大してきた。そして、北京冬季五輪で一気に知名度を上げたのだ。

 北京冬季五輪で米国の選手の公式ウエアに採用された手編みニット帽子は、赤青白で「チームUSA」と編み込まれ、米国国旗と五輪マークのワッペンも付いている。インスタグラムでまたたく間に広まり、日本円にして2万円近くという価格にもかかわらず、飛ぶように売れた。

キルトで大量雇用も

 キルトの素材からパターンまで取り扱う「ミズーリ・スター・キルトカンパニー」(ミズーリ州)の創業者、CEOのジェニー・ドーン氏も趣味を一大事業に育てた女性だ。ドーン氏は、生活費の高いカリフォルニア州で暮らしていけず、人口1500人のミズーリ州ハミルトンに居を構えた。08年に同社を設立。その後はキルト作りを指南する動画配信が評判を呼び、全米のキルトファンが集まる「聖地」となった。最近では、観光、癒やし、キルト研修を兼ねて合宿できる施設も作り、「キ…

残り575文字(全文1325文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事