複雑で微妙な人間の多面性描くカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作=勝田友巳
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映画 英雄の証明 カンヌのグランプリ受賞作は観客を安心させない複雑多面体
イランのアスガー・ファルハディ監督は、「別離」(2011年)でも「セールスマン」(16年)でも、人間を複雑な多面体として描いてきた。ごく普通の人々が予期せぬ出来事に巻き込まれて右往左往するうちに、良心と悪意が不連続に現れ、本音と建前がせめぎあい、身勝手にふるまったかと思うと犠牲的精神を発揮する。
人の真価は逆境でこそ測られるとはマーチン・ルーサー・キングの言葉というが、ファルハディ監督は、登場人物の周りを深く掘り進め、人間はそんなに単純ではないと言い返すかのようである。
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週刊エコノミスト
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