声のひとつひとつを視覚化 「特別展 空也上人と六波羅蜜寺」=石川健次
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美術 特別展 「空也上人と六波羅蜜寺」 声のひとつひとつを視覚化 喉ぼとけなど圧巻の迫真性=石川健次
実物を見たことはなくても、教科書などで目に触れたことがあるという人はきっと多いだろう。図版の作品だ。開いた口から6体の小さな仏像が現れ出ているさまが、何といっても印象的だ。初めて目に触れたとき、まるでマンガの吹き出しのようだと強く興味を覚えたのを記憶している。
平安時代中期、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)ととなえれば極楽往生がかなうとする阿弥陀信仰をいち早く広め、庶民から貴族にいたるまで幅広く信仰された僧が空也上人だ。托鉢(たくはつ)をしながら貧しい人や病人に施すなど人々を苦しみから救う生活に身を投じ、常に市井の人々に寄り添う姿から市聖(いちのひじり)と呼ばれた上人が、京都・東山の地に創建したのが六波羅蜜寺(当初は西光寺と称した)だ。
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