教養・歴史書評

善悪で割れない「小さき人々」を書くウクライナ生まれの作家

善悪二元論で理解できない「小さき人々」を書く=ブレイディみかこ

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「この罪深い戦争を止めなければならない」。ノーベル文学賞作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチは、ロシアのウクライナ侵攻に際していち早く声明を発表した。『アレクシエーヴィチとの対話 「小さき人々」の声を求めて』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ、鎌倉英也、徐京植、沼野恭子著 岩波書店、3190円)に彼女はこう書いていた。

「私には家が三つあります。私のベラルーシの大地は父の故郷で、私がこれまで住んできたところ。ウクライナは母の故郷で、私が生まれたところ。そして偉大なロシア文化なくしては今ある自分を想像することはできません」

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