ウクライナ占領にはロシア全地上軍の投入が必要=市岡繁男
有料記事
ウクライナ占領にはロシア全地上軍が必要
今年3月、米国の軍事サイトに、ロシアのウクライナ占領に必要な兵力数を推定した論文が掲載された。安全保障を専門とする著者の結論はこうだ。ロシア系住民が多い東部2州の確保に必要な兵力は約8万人、同数の交代要員も入れると16万人だ。これはロシア地上軍(35万人)の半数弱にあたる。
キエフとオデッサも押さえるなら17万人、交代要員も入れて34万人が必要だ。つまり地上軍のほぼ全数を張り付けなければならない。そんなことは常識的に無理だ。ロシアの兵役対象(15~29歳)人口は2005年から22年までに1400万人、約4割も減少しており(図1)、79年のアフガニスタン侵攻時のような長期戦はできない。プーチン大統領が当初から、ウクライナ占領の意図はない、と表明したのはこのためだ。
残り233文字(全文588文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める