「ウクライナは依存者」「プーチンはワシントンの政治家よりマシ」 過激発言で高視聴率たたき出すカールソン氏=溝口 健一郎
有料記事
過激発言で高視聴率 カールソン氏の影響力=溝口健一郎
タッカー・カールソン氏をご存じだろうか。FOXニュース・チャンネルで平日午後8時に放送される「タッカー・カールソン・トゥナイト」の司会者として、全米でも「超」が付く有名人だ。
番組は度々ケーブルテレビの最高視聴率を記録している。2021年は平均視聴者数320万人を誇り、同じ時間帯のCNNとMSNBCの両ニュース番組を合わせた数字を上回る。取り上げるテーマは政治関連が多く、他のFOXニュースの番組と同様、共和党寄りである。カールソン氏独自の説得力ある切り口が番組人気の最大要因だ。しかし、その発言は物議を醸す場合も多い。例えば過去、以下のようなコメントがある。
「(21年)1月6日の議会襲撃は背後にFBI(米連邦捜査局)がいる。白人至上主義者の攻撃だと批判する警護の警官は馬鹿だ」
「(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事だ、BLM=運動の起点となった暴行死事件の犠牲者)ジョージ・フロイド氏は警官に殺されたのではなく、麻薬の過剰摂取で死んだ。BLM運動は国家的恥だ」
「ウクライナは民主的国家ではなく依存者に過ぎない。そんな国を我々が気にする必要はない。プーチン露大統領は倫理的にワシントンの政治家よりマシだ」
番組はニュース報道というよりも、政治的事象をカールソン氏がどう解釈し、どういうレトリックで、誰を血祭りにあげるかのエンターテインメント番組と言える。毎夜、カールソン氏のファンはその一言一言に喝采し、彼を敵視する民主党支持者たちは歯がみするという構図だ。
カールソン氏は1969年生まれ。大学卒業時にCIA(米中央情報局)に応募したが受からず、父親と同じメディアの道に進んだ。新聞や雑誌の記者を経て00年にCNNに就職。MSNBC…
残り584文字(全文1334文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める