ウクライナ、インフレ、脱炭素……IMF・世銀は世界経済をどう見ているのか?春季会合18日から=鈴木 洋之
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IMF・世銀の春季会合 間近に迫る議論のポイント=鈴木洋之
ワシントンDCは、国際通貨基金(IMF)と世界銀行グループが本部を置く国際金融の中心地でもある。日本も含め、主要国は財政・金融当局のトップクラスの人材をIMF・世銀に送り込む。IMFと世銀は毎年秋に年次総会を開催し、世界経済の“羅針盤”となる世界経済見通し(World Economic Outlook)などを議論・発表する。また、4月には前年の総会の中間進捗(しんちょく)を議論する春季会合が開催される。
春季会合は4月18日から、オンラインに対面会議も交えたハイブリッド会合となる予定だ。世界経済の見通しがますます不透明となる中、今回発表される“羅針盤”のアップデートに注目が集まる。
ウクライナ情勢も注視
国際金融機関の高官は、想定される経済成長の下振れリスク要因として、新型コロナウイルス禍が実体経済のみならず企業活動・マーケットに与える影響、懸念が高まる地政学リスクと資源価格高騰、さらには自然災害や社会不安に注視すべきと警鐘を鳴らす。
実際、コロナ禍で供給面の制約が生じる中、需要を刺激する政策で、各国経済にインフレ圧力がかかり、スタグフレーション(物価上昇と経済減速の同時進行)に陥るリスクが懸念される。
コロナ禍が人的資本の毀損(きそん)をもたらしている状況も注視すべきポイントだ。世銀の教育問題責任者のサアベドラ氏は、コロナ禍による学校閉鎖の影響で子どもたちの教育の機会が失われる結果、世界は「一世代を失うリスクがある」と述べている。
企業活動面に目を移すと、各国の倒産率は低水準だが、本来の市場原理の下では淘汰(とうた)されるべき企業が、政府による各種補助金・給付金などの下で生き長らえているとも考えられ、これらが今後金融…
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週刊エコノミスト
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