過度な金融引き締めに米国で高まる警戒感=岩田太郎
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景気後退とインフレに米で悲観論 「過剰な引き締め」に警戒高まる=岩田太郎
米連邦公開市場委員会(FOMC)は3月16日、過熱する物価上昇を受けて、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0・25%引き上げることを決定。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官たちは、利上げや量的緩和の縮小の加速も示唆している。これに対し、金融引き締めによる米景気後退は避けられないとする論調が強まっている。
米金融サービス大手パイパー・サンドラーは3月25日付の分析で、「FRBは1961年から現在に至るまで約60年間に政策金利を9回、景気を刺激も抑制もしない水準の中立金利以上にする意図で利上げを開始した。だが、その内6回の74年、80年、81年、2000年、06年、19年で景気後退をもたらした。65年と84年は(景気を後退させずにインフレを押し下げる)軟着陸に分類されるが、それは中立金利に達する前に利上げを放棄して利下げに転じた結果だ。真の意味で経済がスランプに陥らなかったのは、94年に始まった引き締めだけだ」との評価を下した。
米金融大手ウェルズファーゴのマクロストラテジーを統括するマイケル・シューマッハー氏は3月24日の米経済専門局CNBCの番組で、「歴史的なインフレ、急上昇する住宅ローン金利、コモディティー価格の急騰、長引くコロナ禍の悪影響、ウクライナ情勢などが重なり、米経済が23年後半までにリセッション(景気後退)に突入する可能性が50%にまで上昇した」と言明。
また、ドイツの金融サービス大手アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は3月22日のブルームバーグテレビで、「私の基本的見解は、われわれが景気停滞下に物価が上昇するスタグフレーション、すなわち低…
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週刊エコノミスト
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