資源・エネルギー鎌田浩毅の役に立つ地学

冥王星が太陽系の「惑星」から外れてしまったワケ=鎌田浩毅

「惑星」から外れた冥王星 消し去れなかった「宇宙のゴミ」/95

 太陽の周りには地球や水星、金星、火星など9個の惑星が周回している。国際天文学連合が2006年8月に太陽系の惑星が満たすべき条件を再定義したことで、そのメンバーに大きな変更があった。太陽から最も遠い位置を回っていた冥王星(めいおうせい)が、惑星から外れてしまったのだ。

 太陽系の惑星を語呂合わせで覚える仕方が昔からある。「水金地火木土天海冥」という唱え方で、子どものころから知っている人も多いだろう。国際天文学連合が再定義した太陽系惑星の条件は三つある。(1)太陽の周りを回っており、(2)自分の重力によってほぼ丸い球のような形を持ち、(3)その軌道の近くから他の天体を排除した存在であること──である。

 条件の1番目は、冥王星も満たしているので問題はない。2番目も冥王星はほぼ球形なので合格だ。惑星は、形ができあがる最初の段階で微惑星がたくさん衝突して成長していく。ちなみに、ぶつかった微惑星は重力の作用で押しつぶされ、表面がならされてしまうことで自ら球状になる。太陽の周りを回っている小さな星にはジャガイモのような形のものもあるが、冥王星はほぼ丸い。

 条件の3番目は、惑星の近傍に存在する微惑星を引力で引き寄せて、きれいに消し去らなければならないということだ。いわば、軌道近くにある「宇宙のゴミ」をきれいに掃き寄せるとも言えよう。ゴミ集めができるかどうかは星のサイズによって決まる。大きい星ほど重力の力で強く引き寄せるからだ。

「準惑星」に書き換え

 ところが、冥王星の周りには、氷でできたような星がたくさん浮いている。「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれるゾーンで、冥王星はここを横切っているのに掃除をしていない。ゴミを掃き寄せるほ…

残り534文字(全文1284文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事