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教養・歴史 アートな時間

18分間ワンカットも! 支離滅裂な暴走感の中に現代社会のアレゴリー=勝田友巳

映画 インフル病みのペトロフ家 驚異の長回しと暴走感に込めた孤独と絶望が巣くう現代の寓意

 走っているバスの中から、映画は始まる。主人公のペトロフは立ったまま激しくせきこんでいる。インフルエンザなのだ。バスが止まり、覆面をして銃を手にした男たちがペトロフを引き出し、彼も銃を渡される。と、そこに車が到着して出てきた男女が壁際に並ばされ、ペトロフらが一斉に引き金を引いて射殺する。ペトロフが乗り込んだバスは再び走り出す。

 ここまで1カットの長回し。説明は一切なし。処刑したのも、されたのも誰なのか分からない。すぐに、バスの中の別のエピソードへと移ってしまう。

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