18分間ワンカットも! 支離滅裂な暴走感の中に現代社会のアレゴリー=勝田友巳
有料記事
映画 インフル病みのペトロフ家 驚異の長回しと暴走感に込めた孤独と絶望が巣くう現代の寓意
走っているバスの中から、映画は始まる。主人公のペトロフは立ったまま激しくせきこんでいる。インフルエンザなのだ。バスが止まり、覆面をして銃を手にした男たちがペトロフを引き出し、彼も銃を渡される。と、そこに車が到着して出てきた男女が壁際に並ばされ、ペトロフらが一斉に引き金を引いて射殺する。ペトロフが乗り込んだバスは再び走り出す。
ここまで1カットの長回し。説明は一切なし。処刑したのも、されたのも誰なのか分からない。すぐに、バスの中の別のエピソードへと移ってしまう。
残り991文字(全文1268文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める