美人画の領域に安住せず挑戦 人々の生活の細部に目を 鏑木清方展=石川健次
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美術 没後50年 鏑木清方展 美人画の領域に安住せず挑戦 人々の生活の細部に目を
桃の節句を控えた雛市(ひないち)で、ふき綿仕立ての華やかな着物に真っ赤なショールをまとった女の子が母親に雛人形をねだっている。図版の作品だ。同じくいかにも高級そうな青いショールを身にまとう母親は、どれがいいかと娘の頭越しに身を乗り出すようにして物色中のようだ。和やかで温かな光景だろう。
近代の日本画で上村松園と並ぶ美人画家の双璧とうたわれる文化勲章受章者の鏑木清方(かぶらききよかた)(1878~1972年)は、一方で「近年の研究では、清方が自身に付けられた美人画家というレッテルと戦い、自覚をもって風景画や風俗画、肖像画などに作域を広げていったことが明らかにされつつあります」(本展図録)という。
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