地球に「原始大気」ができたのは、彗星や隕石の衝突で「脱ガス」されたから=鎌田浩毅
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地球にできた「原始大気」 彗星・隕石の衝突で「脱ガス」/97
太陽系を構成する惑星には、金星や地球や火星のように岩石が固まってできた岩石惑星がある。第3惑星の地球では表面を大気と海洋が覆っているが、それらの起源は宇宙から飛んできた微惑星である。
今から約46億年前、誕生直後の地球に降り注いだおびただしい数の微惑星の中には、氷と岩石からなる彗星(すいせい)と隕石(いんせき)がたくさん含まれていた。彗星は「汚れた雪だるま」と呼ばれるように水を含んでいる。また、炭質物や水分に富む「炭素質コンドライト」と呼ばれる隕石も衝突した。これらの物質の付加によって大量の水が地球にもたらされたのである。
これら微惑星の衝突によって、高温・高圧の水蒸気や二酸化炭素、窒素がマグマオーシャンを飛び出し、地球を取り巻く「原始大気」を作った(図)。そのころの原始大気は水蒸気が大部分を占めており、現在の大気(窒素78%、酸素21%、二酸化炭素0・03%など)の組成とは大きく異なっている。
実は、太陽系が誕生する際にあった「星雲」の成分は、主に気体のヘリウムだった。ところが、地球上の大気はヘリウムをまったくといっていいほど含んでおらず、地球上の大気は地球表面が「脱ガス」化されてできた成分である。なお、脱ガスとは、固体や液体から特定の気体成分だけが抜け出る現象をいう。つまり、マグマオーシャンから水蒸気と二酸化炭素が抜け出て、原始大気の主な成分となったのである。
水蒸気の精妙な働き
水蒸気と二酸化炭素は両方とも「温室効果」を持っている。このため地球の表面温度は上昇し、地表を覆っていたマグマオーシャンを保温する。その一方、抜け出た水蒸気と二酸化炭素が、今度は液体のマグマに溶け込んでいく。特に、水蒸気は岩石の溶融した…
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週刊エコノミスト
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