FRBの使命は「物価安定」、労働市場の「過熱」に懸念も=岩田太郎
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「物価安定」こそFRBの使命 労働市場は「過熱」の指摘も=岩田太郎
米連邦準備制度理事会(FRB)は過去10年ほど、米議会から義務付けられた「雇用の最大化」と「物価の安定」の使命のうち、雇用を重視する緩和的な政策を採用してきた。だが、高進するインフレを受けてインフレ退治が優先され始め、米論壇ではその是非が議論されている。
FRBのパウエル議長は3月21日の全米企業エコノミスト協会(NABE)の会合で講演し、「労働市場が極めて力強く、インフレは高すぎる」と指摘し、インフレ退治には利上げによる労働市場の過熱の解消が必要であると示唆した。
FRBが雇用の最大化をある程度犠牲にすることで、物価抑制が可能になるとの見方を示す識者もいる。ローレンス・サマーズ元米財務長官は4月5日付の米『ワシントン・ポスト』紙で、「求職者の数が増加すれば賃金上昇も抑えられるため、失業者を増やして労働市場にたるみを設けてやることで、インフレ圧力を下げることができる」と解説した。
その上でサマーズ氏は、「ただでさえ現在の米国では人々の困窮が深刻であるのに、『雇われるのは最後で、クビにされるのは最初』である階層に属する、機会の少ない働き手の失業を増やすのは、いかがなものかとの意見もあるだろう」と、予想される反論に言及した。
そうした懸念に対する答えとしてサマーズ氏は、「インフレ(抑止)と失業(低減)は一方を立てると他方が立たない。物価上昇は放置するとコントロール不能になり、深刻な景気後退をもたらす。今の局面では短期的な快適さよりも、長期的な経済の健康が大事だ。米労働市場は持続性を欠くほどに過熱しており、抑制が必要だ」と論じた。
利上げは「貧困層を救う」
こうした中、ブレイナードFRB理事は4月5日、ミネソタ州での…
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週刊エコノミスト
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