教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

コロナ禍で友人とハグなどができず、人としての感情が萎えていきます/127

 Q コロナ禍で友人とハグなどができず、人としての感情が萎えていきます

 A 触覚で得る「慎ましい形而上学」が他者を意識することの大事さを教えます

 コロナ禍でオンライン生活が増えたこともあり、友人たちとのハグはおろか、簡単に物に触れる機会さえ少なくなっています。このままでは人間のぬくもりを忘れ、感情の大事な部分を失ってしまうように危惧します。

(IT関連会社勤務・30代女性)

 今後この問題は、ボディーブローのように効いてくるような気がします。現にスキンシップが重視される幼稚園や保育園では、触れ合えないことに戸惑いもあるようです。先生にぎゅっとしてもらう、お友達同士でぎゅっと抱きしめ合う。幼児はそうやって育っていく。

 これは幼児だけの問題ではありません。大人も触れ合うことで安心し、思いを伝えてきたはずです。触れることができなくなって初めて、私たちはその大切さに気付きました。ハグやキスといった欧米ほどのスキンシップはないものの、日本人だって肩を抱いたり、たたいたり、頭をなでてきたのです。感動を分かち合う時や、久しぶりに友人と会った時などには、抱き合うこともあったでしょう。

抱き合い存在を確認

 でも、コロナ禍で今はそれもはばかられます。本当にこれでいいのか考える上で参考になる哲学者がいます。人間にとって、触れることがいかに重要かを説いた18世紀フランスの哲学者エティエンヌ・ボノ・ドゥ・コンディ…

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