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資源・エネルギー 鎌田浩毅の役に立つ地学

来年度の高2「地学」教科書は1社版のみという事実がはらむ危険性について

高校で進む「地学離れ」 “災害大国”で減る学びの機会/100

「地学」は地球を対象とする自然科学の一分野であり、日本では高校理科の科目にもなっている。文部科学省が今年3月に発表した2023年4月からの高校教科書の検定結果では、主に高校2年生が使う選択科目の地学で、教科書を申請したのは啓林館(新興出版社啓林館)の1社のみだった。これまでは「地学」は2社の教科書から選べたが、新しい学習指導要領下ではそうした選択肢がなくなったことを意味する。

 その原因は、最近20年間に高校で地学を履修する生徒が激減したからである。筆者が1974年に卒業した高校では、物理、科学、生物、地学は必修で、全生徒が履修していた。しかし、15年度の文科省の調査では、地学を開設している公立高校は普通科3年生で11・2%、2年生で1・8%と非常に少ない。

 こうした「地学離れ」は大学入試にも表れている。地学は大学入学共通テストの出題科目でもあるが、今年の共通テスト(本試験)で地学を受験した生徒はわずか1350人で、物理14万人、化学18万人、生物5万人と比べると極端に少ない。それと呼応するように、22年度の地学の教科書需要はわずか9201冊で、啓林館(84%)と数研出版(15%)2社のみであった。

「生存の基盤」を知る

 これまで地学の教科書では、最新の研究成果を盛り込みながら、複数で内容を競い合ってきただけに、地学の応援団を長年やってきた筆者としては大変ショックである。実際、地学の教科書にさまざまな情報を提供してきたし、筆者が一般向けに分かりやすく著書を執筆する際には大いに参考にさせてもらった。

 地学は「地を学ぶ」と書くように、我々人類の「生存の基盤」を科学的に知る学問である。具体的には、硬い地盤のある地球(固体地球)…

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週刊エコノミスト

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